住宅ローンでマイホームの購入を検討されている人のなかには、「奨学金の返済」を続けているという方もいらっしゃるでしょう。

学業のためとはいえ、学生時代に借り入れた奨学金も「借金」の一種です。

その返済が続く最中に、住宅ローンの借り入れはできるのでしょうか。

ここでは、奨学金を返済している方が住宅ローンを申し込む際に、注意したいポイントをお伝えします。

奨学金の返済中でも住宅ローンを借り入れできる

結論からいうと、奨学金を返済中の人でも住宅ローンは借り入れできます。

実際に、奨学金を返しながら住宅ローンを利用して理想のマイホームを手に入れた方は、たくさんいらっしゃいます。

ただ、奨学金の返済状況などによっては、「住宅ローンの審査」に影響を与える可能性がありますから、注意が必要です。

住宅ローンの審査基準には、年齢や収入、返済負担率など、さまざまな基準があります。

そのなかに、「ほかのローンの借り入れ」を審査基準に設ける金融機関も多いです。

ローンといえば、自動車ローンやキャッシングなどのイメージがありますが、学生時代に借り入れた「奨学金」もローン(借金)の一種です。

もっとも、返済が不要な「給付型」の奨学金を利用していた方であれば、借金はありませんので住宅ローンの審査に影響はありません。

影響が心配されるのは、返済しなければならない「貸与型」の奨学金を利用していた方です。

奨学金だけに限りませんが、住宅ローンのほかにも借金があると、金融機関は「この人にお金を貸しても大丈夫だろうか?」「完済できるのか?」と見る傾向があります。

もちろん、安定した収入があり奨学金も順調に返済を続けている人であれば、審査に通る可能性は高まります。

審査に通るためには、「住宅ローンを貸しても返済できる人」と、金融機関に認めさせればよいのです。

奨学金を返済している人は「返済負担率」に注意

奨学金の返済を続けている方が住宅ローンを利用する際には、「返済負担率」に注意する必要があります。

返済負担率とは、年収に対する年間の返済額の割合のことです。

たとえば、年収400万円の人が年間20万円の奨学金を返済している場合、返済負担率は「5%(=20万÷400万)」になります。

この人が住宅ローンを借り入れて、その返済額が年間120万円だとしましょう。

返済負担率には、奨学金の返済額(年間20万円)も含めて計算しますから、この人の返済負担率は「35%(140万÷400万)」にアップします。

多くの金融機関では、返済負担率に上限を設定しています。

その上限は30%~35%前後といわれますから、この人のケースは上限ギリギリ、つまり審査に通るか微妙なラインということです。

一般的に、「返済負担率は25%以内に設定すると良い」とされます。

年収400万円の場合、年間の返済額が100万円以内ということになりますから、奨学金の返済額を差し引いた年間80万円までになるよう、住宅ローンの借入額や返済期間を調整すると、審査に通りやすくなるのです。

奨学金の完済後に住宅ローンを申し込むのも一手

上で説明したように、奨学金を返済中の人は住宅ローンの借入可能額が減ってしまう可能性があります。

借入額が減れば、物件の選択肢が狭まり、希望する家を購入できないかもしれません。

そうならないためには、どうすれば良いのでしょうか。

解決策の一つとして、「奨学金を完済する」ことを検討してみましょう。

奨学金を完済すれば、住宅ローン審査に影響を与えることはありません。

住宅ローンの借入可能額も増やせますから、物件の選択肢も広がります。

資金的に余裕がある方は、奨学金を全額返済してから住宅ローンを申し込みましょう。

頭金を奨学金の完済に使ってもよい?

奨学金を完済する場合の検討事項として、「頭金に貯めた貯蓄を、奨学金の返済に当ててよいか?」という問題があります。

最近の住宅ローンは、頭金がなくても借り入れできる商品が増えましたが、頭金が少ないと金利が高くなりトータルの返済額がアップしてしまいます。

自己資金を、「頭金に使うか」、それとも「奨学金の返済に使うか」。

迷ったら、それぞれの金利を比べて判断するのも一手です。

奨学金には、利息の付かない「第一種奨学金」と、利息の付く「第二種奨学金」があります。

利息の付かない第一種奨学金であれば、住宅ローンの頭金に当てる方が、トータルの金利負担を抑えられます。

一方、第二種奨学金の場合は住宅ローンの金利と比べて、高い方に使います。

仮に、奨学金の金利の方が低ければ住宅ローンの頭金に当てると金利負担を抑えられます。

迷ったら、どちらの方が金利負担を軽減できるかをシミュレーションした上で、判断されてはいかがでしょうか。

奨学金を延滞(滞納)した方は要注意!

奨学金を返済中の方が、もっとも注意しなければならないのが「延滞(滞納)」です。毎月の決まった返済日に遅れたり、数ヵ月間の滞納を繰り返したりといった経験がある方は、住宅ローンの審査に通らない可能性が高まります。

金融機関から見て、もっとも融資をしたくない人は「決まった日にお金を返してくれない人」です。

このため、奨学金の返済に延滞があると、「住宅ローンの返済も滞るかもしれない」とみられ、審査にマイナスの影響を及ぼします。

奨学金の延滞も「ブラックリスト」に登録される

奨学金の返済を延滞すると、信用情報機関に「延滞履歴」が記録される可能性があります。

そして、延滞が一定期間続くと、信用情報機関の情報に「異動」と記載されます。

いわゆる「ブラックリストに載る」ということです。異動が記載されると、住宅ローンだけでなく、自動車ローンやカードローンなど他の融資も受けられない場合があります。

では、奨学金をどれくらい滞納すると異動が記載されるのでしょうか。

一例として、日本学生支援機構の場合、信用情報機関に登録する基準を「延滞が3ヵ月以上の場合に登録」と定めています。

これまでの返済で3ヵ月以上の延滞があったり、1~2ヵ月の延滞を何度も繰り返したりした方は、ブラックリストに登録されている可能性が高いということです。

奨学金を延滞したら住宅ローンを利用できない?

金融機関では、住宅ローンの審査の際に信用情報機関に照合し、奨学金を含めほかのローンの返済状況を確認しています。

その中に「異動」があれば大きなペナルティになり、審査への影響は避けられません。

では、奨学金の延滞や滞納がある人は住宅ローンを利用できないかというと、そうとも限りません。

なぜなら、信用情報機関に登録された情報は、一定期間を過ぎると削除されるからです。

日本学生支援機構の場合、「返還完了の5年後に削除」するとしています。

つまり、この期間を過ぎればブラックリストから外され、審査に影響を与えないということです。

ここで注意したいポイントとして、延滞したときから5年ではなく「返還完了してから5年」という点です。

ブラックリストに登録されている可能性がある方は、奨学金をいち早く完済し、5年が過ぎてから住宅ローンを申し込むようにしましょう。

なお、「延滞したかどうか、わからない」という方は、信用情報機関に問い合わせて開示請求もできます。

心配な方は、信用情報機関に確認してみましょう。

奨学金を滞納した人が住宅ローンを利用するには

信用情報は5年後に削除されるとはいえ、「それまで家を買うのを待てない」という方もいらっしゃるでしょう。

その場合、住宅ローンの審査に通るための方法をいくつか紹介します。

なお、以下の方法でも審査に通る確率が必ず上がるとは言い切れません。参考までにご覧ください。

配偶者を契約者にする

配偶者に一定の収入があり、これまでに借金の延滞・滞納の経験がなければ、「配偶者を契約者として住宅ローンに申し込む」という方法があります。

これなら、基本的には審査に影響することはありません。

ただし、収入合算タイプの住宅ローンを利用する場合は、連帯保証人または連帯債務者の信用情報も審査の対象になります。

連帯保証人または連帯債務者がブラックリストに登録されている場合は、審査に通らない可能性が高いので注意が必要です。

金融機関を変えて申し込む

延滞履歴をどれだけ重視するかは、金融機関によって異なります。

たとえば、過去に一度でも延滞したことがあれば審査に通らないという銀行もありますし、それほど厳しくチェックしないところもあるようです。

奨学金などローン返済の延滞が理由で審査に落ちたという方であれば、ほかの金融機関に申し込むと、審査に通る可能性があります。

ただし、「異動」の記載がある方は、審査に通る可能性は極めて低いです。

奨学金に関するよくある悩み

奨学金に関して、よくある質問と回答を掲載します。

配偶者の奨学金は住宅ローン審査に影響するのか?

住宅ローンの審査対象となるのは、契約者本人のみです。配偶者も奨学金を返済していても、契約者の返済能力に問題がなければ、基本的には審査に影響はありません。

ただし、夫婦で収入合算するタイプの住宅ローンを利用する場合は、配偶者も審査対象になりますので、審査に影響が出る場合があります。

奨学金を隠して住宅ローンの借り入れはできるのか?

住宅ローンの申込時に奨学金の返済があることを隠していても、金融機関は信用情報機関に照合することで簡単に把握されますので、必ず正直に申告しましょう。

逆に、申告しないまま進めると、後に発覚した際に「虚偽の報告をした」とみなされ、審査に影響します。

奨学金に限らず、いま抱えている借金はすべて伝えてください。

まとめ

奨学金の返済を続けている方でも、住宅ローンを利用することは可能です。

ただ、返済負担率には奨学金の返済も含むため、借入希望額によっては審査に通らない可能性もあります。

あらかじめ、いくらまでなら審査に通るかをシミュレーションした上で借入額を決めていきましょう。

なお、奨学金の返済中に延滞をした経験がある方は、住宅ローンの審査に大きな影響を与えます。

奨学金を早急に完済するなど、審査に通るための対策を施したうえで、住宅ローンを申し込むことが求められます。

センチュリー21住宅ファクトリーは、「住宅ローンに強い不動産会社」として、お客様に適した資金計画や返済プランの立て方、ローン審査の支援などをおこなってまいりました。

他社で断られたお客様でも多くの方がマイホームを実現しています。これまで蓄積した経験とノウハウを生かし、審査通過を目指してサポートいたしますので、住宅ローンでお困りの方は諦める前にぜひご相談ください。

>詳しくはこちら