住宅ローン金利は、現在「金利のある世界」への転換期にあります。日銀は2024年以降、段階的に政策金利を引き上げており、これに伴い変動金利型も上昇しています。

主要な予測では2026年までに政策金利が1%程度まで上がる可能性が指摘されており、変動・固定ともに上昇トレンドが続く見通しです。

【金利の現状と予測】
2024年
0.1%
現在
0.5%
2026年
予想

1.0%

※政策金利の推移イメージ

この記事では、住宅ローン金利は今後どうなるのかについてわかりやすく解説します。これから住宅ローンを利用する予定がある人は、ぜひ参考にしてください。

※参考:2025年版 小規模企業白書(HTML版)第2節 金利・為替・物価|中小企業庁

【この記事でわかること】


  • 【2025年】住宅ローン金利はどうなる?今後の見通し

  • 【2025年】住宅ローンの固定金利・変動金利は今後どうなる?

  • 住宅ローン金利が不動産価格に与える影響は?

  • 【シミュレーション】住宅ローン金利が上がると返済負担はどうなる?

  • 住宅ローンの金利上昇に備えるための対策は?

【2025年】住宅ローン金利はどうなる?今後の見通し

はじめに、住宅ローン金利はどうなるのか、今後を左右する要因について解説します。


  • 日銀の利上げによる影響

  • 国内政治・海外情勢による影響

  • 賃金上昇と物価上昇による影響

日銀の利上げによる影響

日銀は2024年3月のマイナス金利解除後、同年7月と2025年1月に追加利上げを実施し、政策金利は約0.5%へ上昇しました。

しかし、それ以降は利上げを据え置き、賃上げや経済指標を慎重に見極めています。

据え置きの背景には、新政権(高市政権)との関係や海外の経済リスクへの配慮があります。2026年1月は、春闘の動向や補正予算の効果を踏まえた判断が可能になるため、追加利上げのタイミングとして注目されています。

※参考:日銀の追加利上げ「26年1月」が本命、高市政権や春闘にらみ10月利上げ見送り|日銀 早耳深掘|ダイヤモンド・オンライン

国内政治・海外情勢による影響

アメリカや欧州など海外の金利は、日本の住宅ローン金利(特に固定金利)にも影響します。

海外で金融引き締めや金利上昇が起きると、投資資金が海外へ流出し、日本国債が売られて長期金利が上昇する傾向にあります。

反対に、海外で金融緩和や金利低下が進めば日本国債への投資が増え、長期金利が抑えられるでしょう。つまり、海外の金利動向も日本の住宅ローン金利の先行きを決める重要な要素です。

賃金上昇と物価上昇による影響

持続的な賃金上昇と、それに伴う安定的な物価上昇(インフレ)も、特に変動金利を押し上げる要因の1つです。

日銀は、企業が賃上げを続け、それを商品やサービスの価格に適切に転嫁できる「景気の好循環」が定着したと判断した場合、追加の利上げに踏み切ります。

人手不足を背景に賃上げは続きやすいと見られており、賃金に起因する物価上昇が安定すれば、日銀は政策金利を段階的に引き上げ、住宅ローン金利も上昇していくことになります。

つまり、賃金と物価が期待通りに伸び続けるかどうかが、先行きを左右するポイントです。

※参考:日銀利上げ継続の条件(P2)|みずほリサーチ&テクノロジーズ

【2025年】住宅ローンの固定金利・変動金利は今後どうなる?

2026年以降、住宅ローン金利は上昇が続くと予想されています。政策金利の引き上げや物価上昇を背景に、変動・固定いずれの金利も影響を受ける見通しです。

ここでは、変動金利と固定金利の見通しについて解説します。


  • 変動金利の見通し

  • 固定金利の見通し

変動金利の見通し

2026年には、変動金利型の住宅ローンの上昇が見込まれています。

日本経済研究センターの調査では、変動金利の基準となる政策金利が現在の約0.5%から、2026年末には約1.1%へ上昇すると予測されています。

みずほリサーチの試算でも、変動金利は1.27%を超える水準に達するとされており、金利の「正常化」が進中、緩やかなながら確実な上昇トレンドが予想されます。

借入時には、金利リスクへの備えが重要です。

※参考:金利のある世界での住宅ローン提案!|住宅金融支援機構

固定金利の見通し

2026年以降、固定金利型の住宅ローンも上昇傾向が続くと予測されています。

内閣府のGDP速報を踏まえたシンクタンクの見通しによれば、固定金利の指標である長期金利(10年国債利回り)は、2025年8月時点の平均1.57%から、2026年7〜9月には1.63%まで上昇する見通しです。

金利上昇に伴い、固定型住宅ローンも引き上げられる可能性が高く、金利を固定する安心感とコストのバランスがより重要になります。

変動金利

予測: 緩やかな上昇トレンド

指標: 政策金利

2026年末には約1.1%、実質金利は1.27%超の見通し。

固定金利

予測: 先行して上昇傾向

指標: 長期金利(10年国債)

2026年には長期金利1.63%まで上昇する見通し。

住宅ローン金利が不動産価格に与える影響は?

住宅ローン金利は、不動産価格とも密接に関係しています。

【住宅ローン金利に関する疑問】
  • Q.住宅ローン金利が下がると不動産価格は上がる?
  • Q.住宅ローン金利が上がると不動産価格は下がる?

一般的に金利が下がると借入可能額が増え、買い手の需要が強まり、価格は上がりやすくなります。逆に、金利が上がると需要が弱まり価格の伸びが鈍る傾向にあるため、「金利が下がると不動産価格が上がり、上がると下がりやすい」という見解はおおむね正しいといえます。

各国のデータでも、実質金利が1%上昇すると住宅価格の伸びが有意に抑えられるとされ、金利上昇が価格の下押し要因となることが確認されています。

ただし、日本では人口減少や都市部への需要集中など、金利以外の要因も大きいため、「金利だけ」で価格が決まるわけではない点には注意が必要です。

※参考:借入コストの上昇に伴い住宅価格は下落を続ける(英文による解説)|IMF

【シミュレーション】住宅ローン金利が上がると返済負担はどうなる?

住宅ローン金利が上昇すると、返済額や総支払額は大きく増加します。特に、返済期間が長い場合、わずかな金利差でも負担は増えるため注意が必要です。

ここでは、以下のケースごとにシミュレーションしていきましょう。


  • 住宅ローン金利が0.25%上昇した場合の月々返済額

  • 住宅ローン金利が0.5%上昇した場合の月々返済額

なお、シミュレーションでは以下の条件を共通して設定した場合の返済額を算出します。

【シミュレーション条件】
  • 借入金額:3,000万円
  • 返済期間:35年
  • 返済方式:元利均等返済
  • ボーナス返済:なし

住宅ローン金利が0.25%上昇した場合の月々返済額

まずは、住宅ローン金利1.00%と1.25%でシミュレーションした結果を見ていきましょう。

項目 金利1.00% 金利1.25% 差額
月々の返済額 8万4,685円 8万8,225円 +3,540円
返済総額 3,556万7,700円 3,705万4,500円 +148万6,800円

※参考:住宅ローンシミュレーション(新規)|借入額から調べる|りそな銀行・埼玉りそな銀行 をもとに試算

この場合、金利が1.0%から1.25%へ0.25%上昇すると、月々の返済額は約3,540円増加し、35年間の返済総額は約149万円増加することがわかりました。

わずかな金利上昇であっても、長期にわたる住宅ローンにおいてはその影響が無視できないほど大きくなるため、金利動向には十分な注意が必要です。

住宅ローン金利が0.5%上昇した場合の月々返済額

次に、住宅ローン金利1.00%と1.50%でシミュレーションした結果を見ていきましょう。

項目 金利1.00% 金利1.50% 差額
月々の返済額 8万4,685円 9万1,855円 +7,170円
返済総額 3,556万7,700円 3,857万9,100円 +301万1,400円

※参考:住宅ローンシミュレーション(新規)|借入額から調べる|りな銀行・埼玉りそな銀行 をもとに試算

この場合、月々の返済額は約7,200円増加し、35年間の返済総額は約300万円以上増加することがわかりました。金利が0.5%上昇するだけでも、月々の返済額は約7,200円増加し、返済総額は300万円以上という大きな負担増につながります。

このシミュレーションから、金利動向が住宅ローン計画に与える影響の大きさが分かります。

住宅ローンの金利上昇に備えるための対策は?

住宅ローン金利の上昇は「新規借入」だけでなく、現在の返済計画にも大きく影響します。将来の金利を正確に読むことはできませんが、今のうちから家計の状況を可視化し、以下のような対策を講じておくことも重要なポイントです。


  • キャッシュフロー表を作成する

  • 借り換えを検討する

  • 繰上返済を検討する

  • ローンの1本化を検討する

こうした備えを早めに進めておくことが、将来の返済負担を軽減することにつながるでしょう。

キャッシュフロー表を作成する

まずは、今後10〜20年程度の家計の収入・支出・貯蓄の推移をまとめたキャッシュフロー表を作成することをおすすめします。

教育費や車の買い替えなど、大きな支出のタイミングを書き出し、そこに金利が0.5%、1.0%上昇した場合の返済額を重ねて確認します。そうすることで、家計が苦しくなる時期や必要な備えが具体的に見えてくるでしょう。

キャッシュフロー表は漠然とした不安を軽減し、対策するうえでの土台となります。家族で共有しておくことで、金利が上がっても慌てずに対応できるでしょう

借り換えを検討する

現在の金利が、同条件の住宅ローンより明らかに高い場合は、金利上昇が本格化する前に借り換えを検討するのも選択肢の1つです。

一般的に、残債が1,000万円以上、返済期間が10年以上、借り換え後の金利差が0.3〜0.5%以上あれば、諸費用を払っても総返済額が減りやすいといえます。

固定金利・変動金利の組み合わせや、返済期間の短縮も含めて比較し、自分のライフプランに合うかどうかを金融機関や専門家に相談するとよいでしょう。

繰上返済を検討する

金利が上昇すると利息負担が増えるため、資金に余裕がある場合は繰上返済で元金を減らしておくことも有効です。

特に、返済初期〜中盤に元金を減らすと、将来支払う利息を大きく圧縮できるでしょう。一方、生活費6〜12か月分程度の生活資金は残し、教育資金や老後資金とのバランスを考える必要もあります。

投資や貯蓄を比較しながら、「いつ、いくらまで繰上返済するか」を検討することが重要です。

ローンの1本化を検討する

住宅ローンのほかにカードローンや自動車ローンなどの借入がある場合、まとめて金利の低いローンに一本化することで、毎月の返済負担や将来の利息を抑えられる可能性があります。

住宅ファクトリーでは、複数の借入を住宅ローンとまとめる「おまとめローン」に強みがあります。最大500万円までの1本化に対応するなど、金利上昇の局面での返済負担を軽減するサポートも可能です。

お客様の状況によって条件が異なるため、まずは無料相談でご自身のケースを確認してみてください。

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住宅ローン金利の今後に備えて対策を講じよう

住宅ローン金利は、今後も数年間にわたって「緩やかな上昇」が続く可能性が高く、すでにローンを組んでいる人にとっても他人事ではありません。

金利動向を注視しつつ、キャッシュフロー表の作成や借り換え・繰上返済などを通じて、返済負担の増加に備えておくことが大切です。

複数の借入がある場合は、金利の低い住宅ローンへまとめる「1本化」で、金利上昇に備えて毎月の返済を抑えられるケースがあります。金利の今後に備え、早めに専門家へ相談し、自分の家計に合った対策を進めていきましょう。

住宅ファクトリーでは、最大500万円までのローン1本化や住宅ローン無料相談を通じて、こうした不安に対する具体的な解決策をご提案いたします。